7/4(火)の議案審査特別委員会 では、「インバウンド回復に向けた市内宿泊施設の受入環境整備に係る経費補助事業」および「スタートアップの集積促進に向けた若年層向けの支援事業」について質問させて頂きました。
【波田質問】
私からは、「インバウンド回復に向けた、市内宿泊施設の受入環境整備に係る経費補助」について質問させて頂きます。
コロナ禍の収束とともに、海外からの観光客、いわゆるインバウンドが回復傾向にあります。
日本政府観光局が公表した統計によると、本年5月に日本を訪れた外国人の数は、推計値で約190万人となり、コロナ前の68.5%にまで回復しております。
札幌市内においても、多くの外国人観光客が、食や観光を楽しんでいらっしゃる様子を、再び目にするようになりました。
そのような中で、今回、本市では、主に海外からの観光客が、快適に旅行することができるよう、宿泊施設における受入環境を整備するための取組に対して、補助制度を創設しようとしております。
そこで質問ですが、この補助制度を創設するに至った経緯について、まずはお伺いさせて頂きます。
【答弁の趣旨】
●令和3年に受入環境の現状・課題を把握するための調査を実施
●調査の結果、多言語対応、緊急時対応等について優先的に整備すべき状況にあることが判明
●国際観光都市にふさわしい受入環境のレベルアップを目的としている
【波田質問】
ありがとうございます。
ただ今のご答弁から、調査結果から得られた、事業者の方々のお声を踏まえて、制度の創設に至ったことを理解致しました。
国内の人口減少を踏まえますと、インバウンドがもたらす経済波及効果の重要性は、今後、ますます高まっていくと考えられます。
是非、今回創設する補助制度が、積極的に活用され、市内における宿泊施設の受入環境の向上が、加速化することを期待するところです。
そこで2つ目の質問でございますが、補助対象事業として、多言語への対応、緊急時対応、多様な文化・宗教への対応などが挙げられておりますが、その具体的な内容についてお伺い致します。
【答弁の趣旨】
●「多言語対応」としては施設内外の案内板やメニューの多言語化など
●「緊急時対応」としては外国人向け災害対応マニュアルの作成など
●「多様な文化等対応」としてはハラル認証取得など
●「環境配慮対応」としては給水器設置などへの支援を想定
【波田】
ありがとうございます。
ただ今のご答弁から、補助対象の具体的内容について理解を致しました。
いずれも大変重要な内容であり、多くの宿泊施設等が、積極的に補助制度の活用を希望されること思います。
ところで、今回の補助事業の対象となっているのは、市内の宿泊施設、具体的には「旅館業法の営業許可を受けた旅館・ホテル」とされる予定であり、住宅宿泊事業者 、いわゆる「民泊事業者」は、今回の補助事業の対象には「含まない予定」と聞いております。
しかし、今や札幌市内において約1,300件にものぼる民泊施設は、インバウンドの受け皿として、極めて重要な施設であると考えます。
市内における民泊利用者数は、コロナ禍に入る直前の令和元年12月から翌年1月にかけて約46,000人ほどでありましたが、1年後には6,600人ほどにまで激減しました。しかし、本年同時期の実績を見ると約19,000人にまで回復をしております。
さらに、宿泊者の国籍の割合を見ると、「日本人」が39%でトップではありますが、残りの61%は「外国人」で、韓国、中国、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど、じつに多様化しています。
むしろこうした、外国人による利用の割合が、圧倒的に多い「民泊施設」においてこそ、多言語対応などの整備補助が、よりいっそう必要なのではないかと考えます。
今回のような「受入環境整備に係る経費補助」事業について、「民泊施設」も補助対象となるような制度設計を、今後検討して頂くことを要望致しまして、本件に関する質問を終わります。
【波田質問】
続きまして、「スタートアップの集積促進に向けた若年層向けの支援」について質問させて頂きます。
政府は、2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけ、戦後の創業期に次ぐ、第2の創業ブームを実現するべく、スタートアップの起業加速を目指しております。
そして、その主役となるのは、斬新な発想で物事を考えることができる「若者たち」であることから、若年層向けに起業家精神を教育するプログラム等は、極めて重要な施策であると考えております。
そこで、質問ですが、まず、これまで本市で行ってきた「スタートアップ」に関する若年層向けの施策について、どのようなことを重視して実施してきたのか、また、どのようなことを課題としてとらえているのか、お伺い致します。
【答弁の趣旨】
●地域から継続的にスタートアップを生み出していくためには、小・中学生から高校生、大学生も含めた若い方々に、世代に応じた内容で、起業という選択肢が魅力的な生き方の一つであると知っていただくことが必要と考えている
●Startup Schoolとして大学生向け、高校生向けのプログラムを実施してきた
●実際にプログラムに参加していただいた方々には、起業という選択肢を身近に感じていただけたものと捉えている
●まだまだ参加人数が少なく、今後より多くの若い世代に働きかけることが課題
【波田質問】
ありがとうございます。
ただ今のご答弁から、「これまで重視してきた点」や「課題」について理解を致しました。
ご答弁の通り、「起業」という選択肢が、魅力的な生き方の1つであると、若者に知って頂くことが重要ですが、まだまだ身近な選択肢とはなっていない現状ではないかと認識しております。
だからこそ、小中学生も含めた早い段階での起業家教育をより充実させることが重要と考えます。
また、一部の意識の高い、若者のための施策だけではなく、起業にあまり興味がない若者も含めた、幅広い層を対象とした施策も必要であり、様々な機関と「連携」しながら実施するべきものと考えます。
そこで、質問ですが、若年層への起業家教育を、今後どのように充実させていくのか、お考えをお伺い致します。
【答弁の趣旨】
●大学生向けの起業家育成講座については、北海道大学との連携により、単位認定の対象となる講義として行うことで、より多くの学生に受講していただくこととしている
●高校生向けのプログラムについては、まず、札幌市立の高校と連携した取組を進めており、今後参加者を拡充するほか、道内の高等専門学校とも連携を検討していく
●小中学生向けには、昨年度、起業家教育に取り組むスタートアップと協力し、年代に合わせた内容のプログラムを試行実施しており、その結果を踏まえ、今後の拡大について検討していく
●今後は他の教育機関や行政機関の理解を深めつつ連携を拡大し、効果的に、かつ継続的に事業を実施していきたい
【波田】
ありがとうございます。
ただ今のご答弁から、今後は小中学生にも対象を広げながら、さらに様々な機関と連携して、事業を実施するお考えと理解を致しました。
今回の補正予算案においても、小中学生向けの起業家教育、大学生向けの講座に660万円、若年層の海外派遣事業に330万円の予算が計上されておりますが、「金額」だけを見ますと、重要な施策であるにも関わらず、まだまだ十分な予算ではないように感じます。
多くの若者に「起業」という選択肢の魅力を知ってもらい、成長性の高いスタートアップを、数多く生み出していくことは、将来の札幌市の「税収」や「雇用」を生み出し、「成長」と「発展」に繋がるものと考えます。
今後、より重点的な施策として、「大胆な予算規模拡充」をご検討頂くことを要望致します。
また、スタートアップの更なる集積促進に向けては、それに関わる本市の政策立案や大きな方向性の検討段階においても、これまでにない「大胆な発想」が不可欠であり、庁内での議論だけでは、やはり限界があるものと考えます。
例えばではございますが、起業経験があり、かつ起業家教育に関する専門的な知見を持つ「外部有識者」を、本市の「顧問」や「市政アドバイザー」としてお迎えし、スタートアップ支援に関わる事業を俯瞰して、助言や提案を頂く等、より多角的な連携も併せてご検討頂くことを、要望致しまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。