活動報告

議会

「敬老パス制度の見直し」について(令和6年3月8日 予算特別委員会 保健福祉局)

3/8(金)、札幌市議会 予算特別委員会(保健福祉局)にて、「#敬老パス」制度の見直しについて質問させて頂き、札幌市の財政負担の軽減や、「子育て支援」「教育の無償化」など、現役世代への配分にも十分考慮頂いた上で、制度の見直しを検討頂くよう要望をさせて頂きました。

<波田質問>
私からは、「敬老パス制度の見直し」について質問させて頂きます。

代表質問で我が会派から述べさせて頂きました通り、昭和50年の敬老パス制度導入時には、年代別人口割合で70歳以上の方は全体の3%でしたが、2024年現在は22%を超え、約35年後の令和42年には34%を超えるという推計もあります。

敬老パス事業費の決算額の推移を見ますと、制度導入時の昭和50年は1億3,000万円の事業費でしたが、平成16年には38億4,000万円まで膨れ上がり、一部自己負担を導入した平成17年には20億7,000万円まで減少したものの、その後も増加を続け、令和5年度の事業費予算は約63億円、ここから自己負担分を差し引いた札幌市の財政負担額は約50億円となっております。
約25年後の令和32年には、事業費予算が80億円にまで増加すると推計されており、財源の問題や、現役世代の負担を考慮すると、やはり今のまま現行制度を維持することに限界が生じることは、明らかであります。

一方で、このような財政事情については、一定のご理解を頂いている高齢者の方も多く、「多少、自己負担額の引き上げや、チャージ上限額を引き下げても構わないので、とにかく現行制度を維持して欲しい」とのお声も多いように感じております。
むしろ、それ以上に、「スマホやアプリの操作はよくわからない」「なぜポイント制度に移行するのか」「なぜ歩いてポイントを貯めなければならないのか」という点に対して、大きなご不安や疑問を感じていらっしゃる方が圧倒的に多いように受け止めております。

ポイント制度への移行を検討する背景として、「健康寿命の延伸」という目的もさることながら、もう一つ、「敬老パスの利用対象をJRとタクシーにも拡大するため」という目的も大きな要因であると認識しております。

令和5年6月12日の厚生委員会にて、「敬老パスでJRとタクシーも利用できるよう改善を求める陳情」について審議を行った際、私から質問をさせて頂きましたが、当時のご答弁では、「現行のSAPICAをベースとした敬老ICカードをJRに対応させるためには、改札機等の大規模な機器改修やシステム改修に多額の費用が必要となることが大きな課題」とのことでした。

また、KitacaやSuicaの仕組みを利用する場合、「これらの電子マネーはJRやタクシーの利用のみならず、買い物等にも利用できてしまうことから、用途の制限は難しく、実質的に現金を給付するのと同じことになってしまう」との課題があったかと思います。

そうなりますと、紙券の「JR回数券」や「タクシー券」等を発行するしかないわけですが、これにつきましても「紙ベースの乗車券等が減少していく中、その販売方法や券種の管理、精算方法の整理、改札口駅員などの人員確保の必要性等を考慮すると課題は多い」とのご答弁でございました。

つまり、利用対象をJRとタクシーにも拡大するためには、現行の敬老ICカードでは難しいこともあり、新たなポイント制度へと移行する今回の素案に至ったものと受け止めております。

そこで、質問ですが、多くの市民の皆さんからのご意見の通り、現行の敬老パス制度を維持した上で、なおかつ、利用対象をJRとタクシーにも拡大することは、現実的に可能なのかどうかお伺い致します。

<答弁の趣旨>
・現行の敬老ICカードをJRに対応させることは、改札機等の大規模な機器改修やシステム改修に多額の予算が必要。
・紙媒体についても、人員確保等の課題は多い。
・現行の敬老パス制度のまま、利用対象をJRとタクシーにも拡大することは非常に難しい。

<波田質問>
ありがとうございます。
利用対象をJRとタクシーに拡大するためにも、今回のポイント制度に移行することが、現実的に必要であるということは、市民の皆さんにはあまりご理解頂けていないようにも感じております。
丁寧な説明と情報発信を通じて、こうした現実を広くご理解頂いた上で、市民の皆さんにも同じ目線で考えて頂くことが重要かと思います。

一方で、そもそもJRにも利用できる敬老パスがあるのは、政令市の中では名古屋市と福岡市くらいかと思います。
また、タクシーにも利用できる敬老パスがあるのは、福岡市くらいで、交付額は年間最大12,000円(所得制限あり)となっております。
多くの政令市において、敬老パスの廃止や縮小が進んでいる中、今から利用対象の拡大を検討しているのは、札幌市くらいではないでしょうか。

敬老パスの見直しをめぐっては、受益者である高齢者の方々から寄せられるご意見が圧倒的に多いものと拝察しております。
しかし、一方で、SNS上では若い世代や現役世代からも数多くの意見が上がっております。
例えば、「現行制度の存続を求める上に、今後はJRとタクシーまで使わせて欲しいとは、一体どれだけ現役世代、未来世代に負担をさせるつもりなのか」という声や、「小学生の子どもでも、大人料金の半分を払っているのに」等といった声も散見されます。

札幌市では、今回の「#敬老健康パス」制度の素案について、市民から意見の募集を行った他、市内10区で意見交換会を開催したと伺っております。

そこで、質問ですが、札幌市に寄せられた市民の方からのご意見の中で、若い世代や現役世代からは、どのような意見が寄せられたのかお伺い致します。
また、寄せられた現役世代からの意見を、札幌市として、どのように受け止め、今後反映していくのかお伺い致します。

<答弁の趣旨>
・敬老パスは高齢者の方だけではなく、市民全体の問題であると考えている。
・若い世代の回答率は低く、意見交換会にも若い人の参加は少なかった。
・現役世代からは、「時代に合わせて制度を見直すことは良いことと思う」等の意見や、「負担を考えて欲しい」と心配する声、高齢者の方を思いやる声などが寄せられた。

<波田質問>
ありがとうございます。
ぜひ現役世代の声も含めた、市民全体の意見に耳を傾けて頂きながら、検討を進めて頂けたらと思います。

代表質問において、秋元市長からは、「すでに敬老パスを利用している方への『経過的な措置』についても検討していきたい」とのご答弁がございました。

仮に、現行制度を維持した上で、新しいポイント制度も並行して始めるとなった場合、これまで敬老パスに高額のチャージをされてこられた方は、おそらく、引き続き現行制度の利用を選択されるかと思いますが、さらに、これまで制度の恩恵を受けられなかったJRやタクシーの利用を希望する方等が、新たに新制度の利用を始めるとなると、札幌市の財政負担は、確実に今よりも大きく増えるものと認識しております。

また、市長からは、「要介護認定や一定の長寿の方には日常生活動作が困難となることに配慮し、一定のポイントを提供することなどを検討していきたい」とのご答弁もございましたが、このような市長のご答弁を踏まえますと、制度見直しの本来の目的であるべきはずの「持続可能な制度設計」という観点からは、どんどんかけ離れていっているようにも感じ、一体「誰のため」の、「何のため」の制度の見直しなのか、疑問に感じるところです。

そこで、質問ですが、仮に素案の通り「敬老健康パス」への移行を進めるにあたり、経過措置として現行の敬老パス制度を維持するにあたっては、チャージ上限額の引き下げや、自己負担額の引き上げをお願いする等、財政負担の増大とならないように、検討を進めるべきと考えますが、お考えをお伺い致します。

<答弁の趣旨>
・敬老パスは生活に組み込まれており、不安感に寄り添うため経過的な措置は必要。
・財源には限りがあるので、チャージ上限額の引き下げや自己負担額の引き上げについては検討したい。

<波田要望>
ありがとうございます。

長年、札幌市の発展のために力を尽くされ、税金も納めてこられた今の高齢者の方々でございます。
私たち現役世代は、今日に至るまで、その恩恵にあずかっております。

私から見れば、まさに親世代の方々でございますが、だからこそ、本当であれば、せめて外出をされる時の交通費くらいは、自己負担なく、気軽にお出掛けを楽しんで頂きたい、私もそう思っております。
JRやタクシーにも利用することができて、要介護認定の方や長寿の方もポイントがもらえる、もちろん、その方が良いに決まっております。

しかしながら、一方で、財源は限られているのが現実です。
これ以上の負担増は、もう現役世代がもちません。

仮に、「敬老健康パス」の導入によって健康寿命が延びて、医療・介護に要する財政負担が軽減されれば、巡り巡って現役世代にも還元されるのかもしれませんが、それにはまだまだ十数年、時間がかかることと思います。
しかし、少子化対策は、もはや待ったなしの喫緊の課題でございます。

札幌市の財政負担の軽減や、「子育て支援」・「教育の無償化」など、現役世代への配分にも十分ご考慮頂いた上で、制度の見直しをご検討頂くよう要望致しまして、私の質問を終わります。

ありがとうございました。

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