活動報告

議会

「ノースサファリサッポロに対する札幌市の対応」について(令和7年3月13日 予算特別委員会 総務局)

3/13(木)、札幌市議会 予算特別委員会(総務局)において、ノースサファリサッポロに対する札幌市の対応について質問しました。

札幌市からは、「申請の審査に当たっては、それぞれの許認可の根拠法令等で定められた基準を満たしている場合には、許認可等をしなければならず、それ以外の事項を理由として、申請を拒否することはできない。」との見解が示されましたが、私からは、「ミクロな視点において、個々のレベルでは正しい対応をしていても、マクロな視点で全体を見ると意図しない悪い結果が生じてしまう合成の誤謬に陥っていたのではないか」、「法令に則って事務事業を遂行すること自体が目的化してしまい、本来の法令の目的を見失っていたのではないか」と指摘させて頂きました。

<波田質問>
「他法令に違反している事業者からの申請に対する対応」についてお伺い致します。

都市計画法に基づく開発許可や建築許可を得ずに、市街化調整区域で建物を建設していたノースサファリサッポロについて、動物愛護管理法に基づく第一種動物取扱業の登録や、食品衛生法および旅館業法に基づく営業許可が出ていたことは、札幌市の対応として一貫性に欠けるものであり、このことが今回の事態の長期化・深刻化を招いた1つの大きな要因ではないかとも考えるところです。

動物愛護管理センターや保健所などの各法令の所管部局では、当該施設が都市計画法に違反していることを把握していながらも、行政手続法の条文や判例を根拠として、他法令に違反していることをもって許可申請を拒むことができず、許可を出さざるを得なかったとのことでございます。

たしかに、行政手続法の第11条では、「行政庁は、申請の処理をするに当たり、他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって自らすべき許認可等をするかどうかについての審査又は判断を殊更に遅延させるようなことをしてはならない。」と定められております。

しかし、今回の件については、そもそも事業者から都市計画法に基づく開発許可や建築許可の申請が行われていないため、申請の審査中ではなく、ましてや行政指導も為されていることから、明確な違法状態であったわけであります。
また、仮に審査中であったとしても、そのことをもって審査や判断を遅延させてはいけないとの定めであって、許可を出さなければならないという定めではありません。
他法令に違反していることをもって、市としての総合的・横断的な判断として、直ちに不許可処分とすることも可能であったのではないかと認識しております。

また、別の部局で判断の根拠としていた平成17年1月24日付の仙台地方裁判所の判例については、農振法に基づく許可申請が不許可処分となったことをもって、宮城県が行った森林法に基づく林地開発行為許可申請を不許可処分としたことは違法であり、不許可処分を取り消すとの判決に至ったものであります。

しかし、今回の件については、そもそも事業者から都市計画法に基づく開発許可や建築許可の申請が行われていないため、不許可処分となったわけではなく、判例における根拠法や状況も異なることから、必ずしもこの判例が本件に全て当てはまるわけではなく、解釈の余地があるものと認識しております。

このように見てきますと、各所管部局がそれぞれ異なる根拠に基づいて、申請に対する許可等の判断を独自に行っていたようにも見受けられます。

そこで、質問ですが、本件における、他法令に違反している事業者からの申請に対する対応について、各法令を所管する動物愛護管理センターや保健所から、札幌市の総務局法制課や顧問弁護士に事前の相談等があったのかどうかお伺い致します。

<答弁の趣旨>
〇事務事業の執行に関して、それぞれの担当部署で法律上の疑義がある際には、法制課や場合によっては顧問弁護士に相談がされる場合があるところ。
〇質問の件に係る申請に対する対応については、事前の相談はなかった。

<波田質問>
法制課や顧問弁護士には、事前の相談は無かったとのご答弁でございました。
そうなりますと、今回、各所管部局が、行政手続法や判例に基づいて行った対応について、札幌市としてどのように認識しているのか気になるところです。

そこで、質問ですが、本件において、都市計画法に違反している事業者に対して、行政手続法や判例を根拠として、動物愛護管理法に基づく第一種動物取扱業の登録や、食品衛生法および旅館業法に基づく営業許可を出さざるを得なかったという対応について、法令や判例の解釈が適切であったのかどうか、札幌市としての見解をお伺い致します。

<答弁の趣旨>
〇行政手続の一般的な原則として、申請の審査に当たっては、それぞれの許認可の根拠法令等で定められた基準を満たしている場合には、許認可等をしなければならず、それ以外の事項を理由として、申請を拒否することはできない。
〇質問の件に関して、申請がされた当時の状況としては、関係法令で定められた基準を満たしていたことから、第一種動物取扱業の登録並びに食品衛生法及び旅館業法に基づく営業許可を拒否することはできなかったものと考えている。

<波田質問>
今回の件は、法令上は拒否することが難しかったということについては一定の理解を致しました。
一方で、例えば、旅館業法を所管する厚生労働省によりますと、旅館業の営業許可にあたっては、関係部局等とも連携し、関係法令の遵守について営業者への指導を依頼する趣旨の通知を出しているとのことであります。

本件に限らず、複数の部局にまたがるような複雑な案件について、全庁的に統一された正しい法解釈に基づき、事務事業を遂行することが重要であると考えます。
部局からの相談を待つだけではなく、例えば、顧問弁護士等と連携した出前型の全庁横断的なコンサルティング機能など、法制課が果たす役割は大きいものと認識しております。

そこで、質問ですが、時代の変化に伴い、複数の部局にまたがるような複雑な案件が増えていくことが想定される中、事務事業の適正な遂行のために、法制課として今後どのような対応を行っていくのかお伺い致します。

<答弁の趣旨>
〇法制課においては、これまでも職員に対し法務に関する研修を行ってきたほか、顧問弁護士と連携して各部局からの法律上の相談に対応してきたところ。
〇今後は、ますます複雑・多様化する全庁横断的な行政課題に的確に対応できるよう、研修内容や相談対応の充実を図るなど、積極的な法的支援をしていく所存。

<波田要望>
経済学では、「合成の誤謬」という用語があります。
これは、ミクロな視点において、個々のレベルでは正しい対応をしていても、マクロな視点で全体を見ると意図しない悪い結果が生じてしまうことを意味するものであります。
まさに今回の件は、合成の誤謬に陥ってしまっていたのではないかと感じるところです。

また、言うまでもありませんが、法令には必ず目的があります。
例えば、旅館業法であれば、第1条で「旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により、もつて公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的とする」と定められております。
旅館業法の定めに従って営業許可を出した結果、耐震性などの十分な安全確認が行われていない建物に今もなお宿泊をしている方がいらっしゃるとすれば、それは、旅館業法が目的とする「旅館業の業務の適正な運営確保」や「公衆衛生及び国民生活の向上」とは、あまりにもかけ離れた現状であると認識しております。
法令に則って事務事業を遂行すること自体が目的化してしまい、本来の法令の目的を見失っていたのではないかとも感じるところでございます。

複数の部局にまたがるような複雑な案件について、全体最適や法令の目的にも目を向けながら、事務事業が適切に遂行されるよう対応を求めて、私の質問を終わります。

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