10/9(木)、札幌市議会 決算特別委員会(保健福祉局)で、「放課後等デイサービス」の利用者負担について質問しました。
市内利用者の約9割が、負担上限月額0円もしくは4,600円で利用している一方で、年収890万円以上の世帯では負担上限月額が37,200円と一気に跳ね上がってしまう現状にあります。
これに加えて、高所得世帯では「特別児童扶養手当」や「障害児福祉手当」、「特別支援教育就学奨励費」、「子ども医療費助成」等も所得制限によって対象外となる場合が多く、実質的な可処分所得(いわゆる手取り)が一般世帯よりも少なくなる「逆転現象」が起こり得るとの札幌市の認識も示されました。
このような不公平を是正するためにも、既に多くの他の政令市や道内市町村で取り組まれているような市独自の利用者負担軽減策に早急に取り組んで頂くことを要望しました。
<波田質問>
私からは、「放課後等デイサービス」の利用者負担についてお伺い致します。
「放課後等デイサービス」の負担上限月額は、生活保護受給世帯と住民税非課税世帯は0円、年収概ね890万円未満のいわゆる「一般世帯」は月額4,600円、年収概ね890万円以上のいわゆる「高所得世帯」は月額37,200円となっており、概ね年収890万円を境に、負担上限月額が一気に跳ね上がってしまう現状にあります。
仮に、上限までサービスを利用した場合、年間の負担額は、一般世帯で年額55,200円であるのに対し、高所得世帯では年額446,400円にもなり、年額391,200円の負担の差が生じます。
これに加えて、障がいを持つ子どもを養育する方には「特別児童扶養手当」が支給される場合もあり、1級で月額56,800円(年額681,600円)、2級で月額37,830円(年額453,960円)が支給されますが、この「特別児童扶養手当」にも所得制限があり、高所得世帯の方は対象外となってしまう場合が多いように見受けられます。
さらに、重度の障がいを有する20歳未満の方には、「障害児福祉手当」が支給される場合もあり、月額16,100円(年額193,200円)が支給されますが、この「障害児福祉手当」にも所得制限があり、高所得世帯の方は対象外となってしまう場合が多いように見受けられます。
そこで、質問ですが、「放課後等デイサービス」の負担上限月額が37,200円の世帯(いわゆる概ね年収890万円以上の高所得世帯)において、「特別児童扶養手当」や「障害児福祉手当」が所得制限によって受給できない世帯の方が、どの程度いらっしゃるのかお伺い致します。
<答弁の趣旨>
○所得制限によって特別児童扶養手当等が受給できない世帯について、放課後等デイサービスの利用上限月額が37,200円の世帯のうち、特別児童扶養手当を受給している世帯は130世帯おり、このうち94世帯が所得制限に該当し支給停止となっている。
○また、障害児福祉手当については、受給している世帯が49世帯で、このうち26世帯が支給停止。
<波田質問>
高所得世帯における多くの割合の方が、「特別児童扶養手当」や「障害児福祉手当」についても、所得制限によって対象外となっていることがわかりました。
また、お示し頂きました割合の分母は、あくまで「手当を申請した方」と伺っておりますが、申請を行っても対象外となることが明らかである高所得世帯の方の中には申請用紙すら受け取ることができず、申請自体を諦めたとのお声もお聞きするところです。
これらを踏まえますと、実際にはもっと多くの割合の方が、所得制限によって手当の対象外となっている現状と受け止めております。
仮に、所得制限によってこれらの手当を受給できない高所得世帯の方がいらっしゃるとすれば、「放課後等デイサービス」の利用負担額、年額446,400円の負担に加えて、「特別児童扶養手当」の年額681,600円や、「障害児福祉手当」の年額193,200円が受給できない方の場合、最大で年間130万円以上の負担差が生じることとなり、いくら高所得世帯の方とは言っても、その負担は大変重たいものと思います。
これに加えて、教育委員会では、特別支援学級に就学している子ども等がいる家庭に対し、学用品や給食費等、学校教育にかかる費用の一部を、「特別支援教育就学奨励費」として助成しておりますが、これも所得制限によって高所得世帯の大半は、対象外となるものと認識しております。
さらに、病気や障がいを持つ子どもを養育する方からは、定期的な通院などで医療費が多くかかるとの声もお伺いするところですが、概ね年収890万円以上の高所得世帯においては、「子ども医療費助成」も所得制限によって対象外となる世帯が多いものと認識しております。
このように見てきますと、障がいを持つ子どもを養育する高所得世帯においては、そもそも累進課税によって高額な所得税や住民税、社会保険料を負担していることに加えて、所得制限によってあらゆる給付の対象外となり、更には高額なサービス利用料の負担を強いられることで、実質的な可処分所得(いわゆる手取り)が一般世帯よりも少なくなる「逆転現象」が起こり得るものとも受け止めております。
そこで、質問ですが、障がいを持つ子どもを養育する高所得世帯において、累進課税や所得制限によってあらゆる給付の対象外となり、更には高額なサービス利用料の負担を強いられることで、実質的な可処分所得(いわゆる手取り)が一般世帯よりも少なくなるような逆転現象は起こり得るのかどうか、ご認識を伺います。
また、そのような逆転現象が起こり得るとすれば、不公平であり、是正が必要と考えますが、併せてお考えをお伺い致します。
<答弁の趣旨>
○委員指摘のとおり、所得制限により、各種給付の対象外となり、サービス利用料を負担することによって、実質的な可処分所得が一般世帯よりも少なくなる逆転現象は起こりうるものと認識。
○国においては、令和6年4月に子どもの養育に係る経済的な負担軽減などを図るために、子どもの補装具の所得制限が撤廃されたところ。
○札幌市においては、国の動向を注視するとともに、引き続き利用者負担に関しては調査・検討を行い、国に対し負担の軽減や是正などを要望していきたいと考えている。
<波田要望>
「逆転現象」は起こりうるとのご認識をお示し頂きました。
全国の政令市7市では、既に独自の放課後等デイサービスの負担軽減策に取り組んでおり、例えば神戸市では、所得に応じて負担上限月額を「0円」「1,700円」「4,600円」「13,600円」「16,620円」の5段階として負担軽減を行っている他、京都市では、高所得世帯の負担上限月額を国基準37,200円の半額である月額18,600円に軽減するなど、適切な応能負担を維持しながら独自の負担軽減に取り組む例もあります。
小学生のお子さんを持つ陳情者の方からは、「デイサービスでは、ペットボトルのキャップを開けたり、ペンを持ったり等、身体機能や言語の訓練を行っており、子どもが社会に出てから困らないように、なるべく多くデイサービスに通わせてあげたい。でも、親なき後に備えて少しでも貯金もしたいため、デイサービスの利用頻度を控えている。それでも、月によっては利用料が2万5,000円ほどかかる。」との切実なお声もあり、市内利用者の約9割の方が、月額0円か4,600円の負担で、利用頻度の制限なくデイサービスに通っている現状を踏まえますと、やはり高所得世帯の子どもだけが、高額な利用負担を強いられている現状は、あまりにも不公平であると受け止めております。
ましてや、高所得世帯の方が損をするような「逆転現象」まで起こりうることを、札幌市として認識をしていながら、取れるべき対応策を取らず、不公平が事実上容認されている現状は、あまりにも理不尽かと思いますので、札幌市としても、国に要望するだけではなく、既に多くの他の政令市や道内市町村で取り組まれているような市独自の利用者負担軽減策に早急に取り組んで頂くことを強く要望して質問を終わります。
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