3/18(月)、札幌市議会 予算特別委員会(都市局)にて、「空き家対策」について質問と要望をさせて頂きました。
札幌市でも空き家の除却には補助制度がありますが、「危険な状態の空き家でなければ補助対象とならない」「解体して更地にすると固定資産税が高くなる」等といった課題により、早い段階での解体の検討が妨げられている現状があります。
<波田質問>
私からは、「空き家対策」について質問させて頂きます。
札幌市では、令和5年3月に、株式会社クラッソーネと連携協定を締結し、「空き家等の適正な管理の推進に係る実証実験」を行っております。
同社が提供する「すまいの終活ナビ」は、スマートフォン等から土地建物の面積や最寄り駅、接する道の幅などの条件を入力することで、「解体費用」と、解体後の「土地売却査定価格」の概算額を手軽に無料で把握することができるサービスであり、空き家の処分や管理について悩む所有者の方にとって、意思決定に大いに役立つサービスであると認識しております。
一方で、「すまいの終活ナビ」へのアクセス数の推移を見てみますと、サービス提供開始のプレスリリースを経て、新聞記事にも掲載された令和5年4月には、約800件のアクセスがありましたが、その後は停滞し、毎月約20件から80件程度のアクセス数となっております。
札幌市における空き家対策に、大いに役立ちうるサービスであるにも関わらず、まだあまり多くの方にサービスが知られていないとすれば、非常にもったいない現状にあるものと感じております。
そこで、質問ですが、実証実験として取り組んでいる「すまいの終活ナビ」について、空き家の処分や管理に悩む市民の方にサービスを知ってもらうために、これまでどのような広報活動を行ってきたのかお伺い致します。
<答弁の趣旨>
・実証実験開始時に、プレスリリースや本市HPへの掲載などを行い、新聞やテレビ番組で取り上げられた。
・空き家関連セミナーの参加者や、空き家所有者等にパンフレット配布して利用促進を図っている。
・1年間の実証実験の結果を踏まえ、実施方法の一部見直しを検討し、引き続き様々な媒体を通じた広報活動に取り組む。
<波田質問>
ありがとうございます。
例えば、神戸市や横浜市などでは、固定資産税の納税通知書や、空き家所有者への指導文書にパンフレットを同封することで、より網羅性の高い啓発を図っているとも伺います。
せっかくの良いサービスを、より多く市民の方に広く知って頂き、活用頂くために、更なる広報活動に取り組んで頂けたらと思います。
そして、「すまいの終活ナビ」などの活用により、空き家の処分や管理の検討に至った場合においても、解体等に要する費用負担が大きいことは、空き家を放置してしまう大きな要因であると認識しております。
札幌市が令和元年10月に行った「市民意識調査」の結果によりますと、「空家所有者の抱える悩み」について、16.1%の方が「空家の取り壊し費用が足りない」、19.4%の方が「取り壊すと固定資産税が高くなる」と回答しております。
札幌市では、「危険空家等除却補助制度」として、「通常型」と「地域連携型」を用意しており、「通常型」では除却費用の「3分の1以下」、「最大50万円」が補助されます。
しかし、その対象となるのは、倒壊や建築部材の飛散のおそれがある「危険な空き家」に限定されておりますため、早い段階での解体を促すというよりは、むしろ逆に、「危険な状態になるまで空き家を放置しておいた方が補助金の対象になる」といったモラルハザードを誘発しかねない補助制度にも見受けられます。
また、「地域連携型」では、除却費用の「10分の9以下」、「最大150万円」と、「通常型」よりも手厚い補助内容となっておりますが、「除却後の土地を町内会やNPO等の自治組織に5年以上無償で貸与する」という要件のハードルが高く、その交付申請数は、令和4年度で0件、令和5年度も0件となっており、せっかくの補助制度が有効に活用されていない現状にあります。
このような現状を踏まえますと、現在の「札幌市危険空家等除却補助制度」には、様々な課題や改善の余地があるようにも感じるところです。
そこで、質問ですが、札幌市では、現状の「札幌市危険空家等除却補助制度」の課題を、どのように認識し、今後どのような検討を行っていくのかお伺い致します。
<答弁の趣旨>
・当該制度は、除却の優先度が高い危険空家を補助対象としている。
・通常型は、補助要件の見直しにより、10件程度からR5は21件に増加し、これまでの制度改善が補助の有効活用に繋がっていると認識。
・地域連携型は、所有者と地域の団体との意向が合わない、事前の調整に時間を要する等の課題があり、見直しが必要と認識。
・今後も交付状況等を勘案して適宜制度を見直し、市民の安全・安心な居住環境を図りたい。
<波田要望>
ありがとうございます。
もちろん、現時点で既に危険な状態にある危険空家の方が、除却の優先度は高いとは思います。
しかし、一方で、札幌市の空き家数は、平成30年時点で125,400戸とのことですが、これらの空き家の中にも、このまま放置されれば、いずれは危険な空き家となってしまう、いわば「潜在的 危険空家」が含まれているかと思います。
そこで、例えば神戸市では、危険空家の発生を未然に防ぐために、危険な状態にはない空き家に対しても解体の補助を出しており、令和5年度の補助件数は約600件と、札幌市の21件と比較しても、その力の入れ具合が伝わって参ります。
補助対象を拡大することは、財源の問題もあるとは思いますが、例えば、築年数が古くて資産価値の低い空き家を、そのまま放置しておくよりも、札幌市の補助によって除却が進み、土地が有効に活用され、そこに資産価値の高い新築の建築物ができれば、札幌市に入る固定資産税が増えるという一面もあるかと思います。
ぜひ目先の課題への対応だけではなく、長期的展望に立った制度設計を、引き続きご検討頂くよう要望させて頂きます。
そして、最後に、もう1つ要望ですが、空き家を放置してしまう理由として、先ほどの「市民意識調査」の結果にもございました通り、「取り壊すと固定資産税が高くなる」ということも、早い段階での除却の検討を妨げる大きな要因であると認識しております。
実際に、空き家を解体して更地にしてしまうと、『住宅用地に係る課税標準の特例』が適用されなくなってしまい、土地に対する固定資産税が最大6倍にも高くなってしまうという現状があります。
こうした現状を踏まえて、国土交通省 住宅局 住宅総合整備課は、令和5年12月13日、各都道府県・指定都市 空き家対策担当部局に対し、事務連絡として、「一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減措置」について情報提供を行いました。
それによりますと、令和4年11月時点で、全国66市町村において、空き家除却後の土地を対象に「固定資産税等の減免」もしくは「除却により増加する固定資産税等の税額相当分の補助金の交付」を行っております。
こうした負担軽減措置による効果として、「地域で問題とされていた特定危険空き家の除却が進んだ」「空き家が除却され、その跡地が活用されることで、長い目で見ると税収の増加にも繋がっている」等の効果が上がっているとのことです。
札幌市においても、「空き家を解体すると固定資産税が上ってしまう」ということを理由として、空き家を放置している方に対して、このような負担軽減措置は、早い段階での解体の検討を促す1つの大きな動機付けになるのではと考えるところです。
このような「固定資産税等の負担軽減措置」について、財政局とも連携や協力を頂き、他都市での取り組み状況も参考としながら、ぜひ札幌市においても措置の実施をご検討頂くよう要望致しまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
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