活動報告

議会

代表質問② プレミストドームの今後の経営について(令和6年9月27日 本会議)

次に、「プレミストドーム」の今後の経営についてお伺い致します。

プレミストドームを管理運営する札幌市の第三セクター「株式会社札幌ドーム」は、今年6月に開かれた株主総会で、2024年3月期決算の当期純損益が約6億5,100万円の赤字となることを公表しました。
今後のドームの経営がどうなるのか、多くの市民の皆さんから心配する声が絶えません。

昨年10月の決算特別委員会では、「今後も株式会社札幌ドームの赤字が続いた場合、札幌市としてどのような対応をされるのか」「ほかの事業者への交代や、よりよい提案を求める意味合いにおいても、次回以降の指定管理期間は事業者を公募によって募集すべきとも考えるがいかがか」という私の質問に対し、当時のご答弁では、「札幌市としては、現在の指定管理期間内での経営安定化に向け、株式会社札幌ドームとともに取り組んでまいる」「仮に、札幌ドームの経営安定化が図られず、公の施設としての利用に影響が生じる場合には、管理運営方法の在り方について、広く検討する必要があるものと考えている」とのご答弁でございました。

今年7月、ネーミングライツの契約が決まったものの、令和5年度から9年度までの5カ年収支計画について、当初見込んでいた5年間累計での黒字化は困難であるとして、収支計画の見直しを発表する等、未だ先行きが見通せない状況にあります。
まさに、現状でもう既に、ドームの管理運営方法の在り方について、広く検討する必要がある局面にあるものと受け止めております。

検討にあたりましては、指定管理者の交代や、公募による募集もさることながら、そもそも、指定管理者制度による管理運営自体にも、見直しの余地があるものと思います。
例えば、施設の改修や設備の更新、利用料金の設定等について、指定管理者制度よりも民間事業者の裁量範囲が大きい「公共施設等運営権制度(コンセッション方式)」の導入による「民間活力」の活用も、新たな管理運営方法の1つと考えます。

コンセッション方式は、スポーツ施設、高速道路、空港、上下水道などの料金徴収を伴う公共施設などで導入されており、プレミストドームに類する公共施設では、東京都の「有明アリーナ」や愛知県の「愛知県新体育館(IGアリーナ)」で既に導入されております。

内閣府とスポーツ庁が策定した「スタジアム・アリーナに係るコンセッション事業活用ガイドライン」によりますと、「指定管理者制度」と比較して、「コンセッション方式」の利点は大きく次の3点であります。

第1に、管理運営する期間が20年以上と長期である点です。
「指定管理者制度」では、期間が5年程度と短い場合が多いのに対し、「コンセッション方式」では20年以上が一般的で、例えばプレミストドームが5年であるのに対し、有明アリーナは25年となっております。
長期で管理運営できるため、民間事業者による戦略的な投資や創意工夫の余地が大きいとされます。

第2に、施設の改修や設備の更新についても、民間事業者が包括的に実施可能である点です。
「指定管理者制度」では、施設の改修や設備の更新は指定管理者の業務範囲に含まれないことが多く、プレミストドームについても、いわゆる施設の改修や設備の更新は所有者である札幌市が行っており、令和5年度の札幌ドーム保全費の決算額は約7億5,200万円となっております。
一方で、「コンセッション方式」では、民間事業者が施設の改修や設備の更新も行うことができるため、戦略的な投資の余地が大きく、自治体が詳細に仕様を規定して発注する場合に比べて、保全に要する費用を抑えられることが期待されます。
例えば、札幌市が約10億円を投じた「新モード」の暗幕についても、仮にこれを民間事業者が自社の費用で施設の改修を行うとすれば、本当にこの投資の判断に至ったかどうかは疑問が残るところでございます。
少なくとも、事前のニーズ調査を綿密に行い、更には、多額の投資を行ったからには何としても投資を回収するべく、「新モード」の利用促進にあらゆる努力があって然るべきであり、「10億円の投資したものの殆ど利用されなかった」という結果は回避できたのではないかと考えます。

第3に、利用料金の変更が柔軟に認められる点です。
「指定管理者制度」では、利用料金の変更には首長の「承認」が必要である一方、「コンセッション方式」では「届出」によって柔軟に変更することが可能とされております。
札幌市では、プレミストドームの平日利用の使用料負担を軽減する方針を示しておりますが、そもそも、これまで、平日も土日も同じ料金設定であったことや、未だに料金設定が変更されていないことに、民間の経営感覚とスピード感の欠如を感じずにはいられません。
ドームの利用が伸び悩む原因が「利用料金」にあるとすれば、やはり利用料金を柔軟に見直すことができる体制が不可欠であると考えます。

一方で、プレミストドームは、アマチュア利用や災害時における物資の集積拠点等、公共施設としての重要な役割も担っております。
コンセッション方式では、施設の所有権は自治体に残るため、市民利用枠の確保や災害・緊急事態等発生時の協力等について、事業契約書等の中で制限を設けることも可能であるため、公共施設としての性格を維持することができるとされます。

もちろん、現行の管理運営方法の下で、経営安定化に全力で取り組むことは重要であります。
しかし、一方で、「指定管理者の交代」や「コンセッション方式の導入」等、管理運営方法を広く検討する場合、やはりどこかで現行の管理運営方法に「見切り」をつけて、新たな管理運営方法について早急に議論を始めなければなりません。
現在の指定管理期間が、3年後の令和9年度で終了することを踏まえますと、もう議論をする時間はそう多くは残されておりません。

そこで、質問ですが、「札幌ドームの経営安定化が図られず、公の施設としての利用に影響が生じる場合には、管理運営方法の在り方について、広く検討する必要があるものと考えている」との札幌市のご認識の通り、現状で既に、管理運営方法の在り方について広く検討しなければならない局面にあるものと認識しておりますが、市長のご認識をお伺い致します。
また、管理運営方法の検討にあたり、施設の改修や設備の更新、利用料金の設定等について、指定管理者制度よりも民間事業者の裁量範囲が大きい「公共施設等運営権制度(コンセッション方式)」の導入による「民間活力」の更なる活用も、新たな管理運営方法の1つと考えますが、市長のお考えをお伺い致します。

<答弁の趣旨>
〇株式会社札幌ドームの経営安定化に向けては、現在、新規イベントの誘致や新規広告商品の販売促進など、収支改善に向けた取組を進めているところ。
〇また、プレミストドーム周辺のスポーツ交流拠点の形成に向け、民間事業者から提案を受けているところであり、こうした提案を参考にしながら、プレミストドームの管理運営の様々な手法についても検討してまいる。

<再質問>
まず、プレミストドームの今後の経営について、市長からご答弁を頂きましたが、私の質問の趣旨に対して、明確にはお答え頂けていなかったように思います。
申し上げました通り、3年後の令和9年度で、現在の指定期間が終了するわけですから、次の指定管理期間に向けてどうするか、もう今から検討を始めないと間に合わないという趣旨でお伺いをしているわけです。

「株式会社札幌ドームの経営安定化に向けて、収支改善に取り組んでいるところ」とのことでございましたが、これまた来年度、再来年度、決算が出るのを待って、そこから検討を行うというのでは、結局時間切れのような形で、十分な検討もなされないまま、とりあえずまた株式会社札幌ドームを非公募で指定することになってしまうのではないかと懸念しております。
民間事業者からの提案を、ただ座して待つというような受け身の姿勢ではなく、札幌市として、いつまでに、どうしていきたいのか、方向性やビジョンが必要であると思います。
そして、その1つとして、コンセッション方式の導入を提言させて頂いたわけでありますが、コンセッション方式の導入についても、市長のお考えをお伺いできなかったように受け止めております。

そこで、再度お伺い致しますが、ご答弁にございました「民間事業者からの提案を参考にしながら、プレミストドームの管理運営の様々な手法についても検討する」というのは、遠い将来の話ではなく、令和10年度からはどうするのかという検討を行うべきと考えますが、市長のお考えをお伺い致します。
また、「管理運営の様々な手法について検討」というのは、コンセッション方式による運営も含めた検討であると受け止めておりますが、コンセッション方式の導入について市長のお考えを再度お伺い致します。

<再質問への答弁>
〇現指定管理期間、令和9年度までとなっている。
〇そういう意味では、令和10年度以降、どういう風にするのかということについて、現時点から検討を進めなければならないと思っている。
〇そういった中で、質問にあったコンセッション方式、これも民間の活力を最大限に活かすという手法として検討の1つかという風に認識している。
〇今、民間からの事業提案を既に頂いており、複数の企業から色々な問い合わせを頂いて、この後出て参ります。
〇そういったものを参照しながら、令和10年度以降の管理運営をどうしていくのかということを検討していく考えである。

「ドームの管理手法検討 市議会で市長 民間裁量拡大も」9月28日(土)北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1068395/

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