活動報告

議会

「下水道事業における官民連携(ウォーターPPP)」の導入について(令和6年3月4日 予算特別委員会 下水道河川局)

3/4(月)、札幌市議会 予算特別委員会(下水道河川局)で、「#ウォーターPPP(#官民連携)」の導入に向けた質疑と要望をさせて頂きました。

#ウォーターPPP は、施設の「所有権」を公共主体が有したまま、施設の「運営権」を民間事業者に設定する「#コンセッション」を含む官民連携の方式です。

<波田質問>
私からは、下水道事業における官民連携について質問させて頂きます。

令和5年6月に国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部が公表した「ウォーターPPPについて」という資料によりますと、水道、工業用水道、下水道について、PPP/PFI推進アクションプラン期間の10年間(R4~R13)において、公共施設等運営事業(いわゆるコンセッション)に段階的に移行するための官民連携方式として、「管理・更新一体マネジメント方式」を新設し、コンセッションと併せて「ウォーターPPP」として導入拡大を図ることとされております。
https://mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001617674.pdf

コンセッションは、施設の「所有権」を公共主体が有したまま、施設の「運営権」を民間事業者に設定する官民連携の方式であり、下水道事業においては、既に一部の自治体で導入され、他の自治体でも導入が検討されているものと認識しております。

ここで、注目致しましたのが、先ほどの資料によりますと、社会資本整備総合交付金交付要綱 交付対象事業の要件として、地方公共団体が汚水管の改築を実施する場合、令和9年度以降については、公共施設等運営事業(コンセッション)及び同方式に準ずる効果が期待できる官民連携方式(これらを総称して「ウォーターPPP」と言っているわけでございますが)、この導入を決定済みである場合のみを交付金の対象とするとされております。

つまり、令和9年度以降については、ウォーターPPPの導入を決定していない地方公共団体に対しては、汚水管の改築に係る交付金が交付されなくなってしまうものと認識しており、この要件変更によって、今後札幌市にどのような影響があるのか心配をするところです。

そこで、質問ですが、現段階において、札幌市では国土交通省が提示している「ウォーターPPP」を導入しているのかどうかお伺い致します。
また、令和9年度以降も「ウォーターPPP」の導入を決定しない場合、交付金が交付されなくなってしまう等、管路の更新事業にどのような影響が生じるのかお伺い致します。

<答弁の趣旨>
・現状では、管理と更新の一体マネジメント等を要件とする「ウォーターPPP」は導入していない。
・令和9年度以降の交付金に関して、ウォーターPPP導入が条件となっている事業は、分流式の汚水管の改築に限ったもの。
・札幌市では、郊外部などで比較的新しく整備を進めてきた分流式処理区が約4割となっているが、管路の不具合も少ないことから、当面、交付金の対象となる改築事業の予定はない。
・このため、「ウォーターPPP」の導入状況が令和9年度以降の管路の更新事業にただちに影響することはないと考えている。

<波田質問>
ありがとうございます。
交付金の対象となるのは、全体の約4割を占める分流式処理区の汚水管のみであり、これらはまだ比較的新しいことから、ただちに影響が生じるわけではないことを理解致しました。

一方で、今はまだ比較的新しい分流式処理区の汚水管についても、数十年先を見通した場合には、必ず改築や更新が必要になってくるわけでございます。
その時に、今のままでは交付金の対象から除外されてしまうわけでありますから、何か今からでも検討できることは検討を進めるべきと考えるところでございます。

下水道分野における「ウォーターPPP」については、平成30年4月に静岡県浜松市で国内初となる下水道コンセッション事業が開始した他、令和2年4月には高知県須崎(すさき)市でも2例目となる事業が開始されました。
また、令和4年4月から宮城県で水道・工業用水との一体的な事業が開始されております。

「札幌市下水道ビジョン2030」では、職員の年齢構成の変化に伴う組織の技術力の低下や、今後の新たな処理施設の土木・建築構造物の改築によって、より多くの人手が必要となるため、現行の運営体制では増加する事業を確実に実施することが困難になるおそれがあるとの懸念が示されており、このようなことから、組織の技術力の維持に努めるとともに、下水道事業に携わる団体や企業との連携をさらに強めることで、運営体制を強化する必要があると明記されております。

また、札幌市では、令和5年3月から、社会資本総合整備計画に掲載された札幌市下水道事業に関して、PPP/PFI方式による民間からの事業提案を広く募集しております。
https://city.sapporo.jp/gesui/03otoiawase/ppp_pfiteian.html

そこで、質問ですが、札幌市で提案を募集している下水道事業に関するPPP/PFI提案について、現時点での応募状況についてお伺い致します。
また、他都市での取り組み状況も踏まえて、札幌市では今後「ウォーターPPP」の下水道事業への導入を、どのように検討していくのかお伺い致します。

<答弁の趣旨>
・ホームページで今後の事業実施見通しの公表を行い、民間提案の受付体制を整えているが、現時点では残念ながら応募はない状況。
・政令指定都市の中で現在ウォーターPPPを導入しているのは、浜松市のみになるが、一定の導入効果が報告されている。
・一方、その他の政令市については、導入について検討中あるいは未定となっており、様々な課題を認識。
・札幌市としては、こういった他都市の状況も踏まえながら、導入の可否も含め検討を行っていく考え。

<波田要望>
ありがとうございます。
市民生活に直結する下水道事業の運営権を、民間事業者に委ねるわけでありますから、様々な課題については、もちろん慎重な検討が必要かとは思います。

一方で、今のままでは、将来的に交付金が受けられなくなってしまうことは明らかなわけであります。

また、現行の運営体制では、技術力の低下や人手の不足により、増加する事業を確実に実施することが困難になることも、札幌市として認識されているわけです。

先行する浜松市では、一定の導入効果が得られているとのことでありますが、平成23年に導入の検討を始めてから、平成30年の事業開始まで、じつに7年かかっております。

ぜひ札幌市においても、長期的な視点の中で、早い段階から前向きな検討を行って頂くことを要望致しまして、質問を終わります。

ありがとうございました。

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