10/31(火)、令和5年第3回定例会の最終日に、本会議で会派を代表して「討論」を行わせて頂きました。
<波田討論>
私は、ただいまから、札幌市議会 維新・大地を代表いたしまして、本定例会に上程をされました令和4年度各会計決算につきまして、これを認定する立場から討論を行います。
まず、令和4年度の一般会計予算についてですが、前年度からの繰越額に、新型コロナウイルス感染症対応関連を中心とした補正予算額1,223億円を加え、最終予算額は、1兆3,557億円となりました。
そこで、決算の状況を見てみますと、歳入の面においては、市税収入が過去最高の3,476億円に達し、新幹線用地の売払い収入によって財産収入も大幅に伸びております。
その半面、コロナ禍に対応した、飲食店などに対する北海道からの協力支援金や、感染症対応の国庫補助金が大きく減少したため、歳入の最終決算額は1兆2,298億円となったところであります。
一方の歳出面においては、これもコロナ禍を反映した子育て世帯への臨時特別給付金が大きく減少したことなどによって、最終決算額は1兆2,188億円となり、形式収支から翌年度への繰越財源を差し引いた実質収支は68億円となって、その決算剰余金の約半分の35億円を財政調整基金に積み立てております。
歳入・歳出面とも新型コロナウイルス感染症対応の金額が大きく変動しておりますが、市税収入の大幅な伸びに加え、市債の償還に充てる公債費が前年度より約180億円減少したこと、さらには、予算執行に当たって経費節約に努めた結果、札幌市の財政指標は、他の政令市との比較においても、引き続き健全度を保っていると評価をしているところであります。
また、病院事業などの企業会計につきましても、ほぼすべての会計において純利益を計上しているほか、事業運営に必要な資金残高も確保しており、いずれも市民生活に密着した事業を営んでいることを十分に認識したうえで、今後とも経営の健全化に取り組んでいただくよう求めておきます。
それでは、我が会派の議員が取り上げてまいりました政策や課題につきまして、順次、局別に、提言・要望等を含めて述べさせていただきます。
最初に、財政局についてであります。
札幌市の財政基盤は、財政力指数が政令市平均を下回っており、いまだ脆弱であるという反面、再開発事業の進展などによって税収は上向き傾向にあり、市債残高も減る傾向にあります。
更に、アクションプラン2023における中期財政フレームでは、今年度末時点で活用可能としている基金残高は1,200億円を超える状況となっております。
とはいえ、今後、アクショクプラン2023に掲げる事業の執行に当たりましては、多額の財源を必要とすることから、引き続き財政の健全化に配慮しつつ、機動的な財政運営に努めていただくよう求めておきます。
次に、環境局についてであります。
札幌市が発注する工事については、空前の人手不足に加えて、資材費や人件費が高騰しており、請負業者側が、極めて厳しい環境に置かれていることは間違いありません。
従いまして、清掃工場の改修等を含め、今後における工事の発注及び施工にあたりましては、請負業者側との協議や、コミュニケーションを円滑にすることによって、中小業者にしわ寄せがいくことのないよう配慮していただくことを強く求めておきます。
次に、まちづくり政策局についてであります。
札幌市が進めている企業版ふるさと納税については、寄付対象事業を拡げてその認知度を高めるとともに、積極的に企業にアプローチするなど、寄付額の増額に向けた取組を強化していくことを求めます。
また、札幌駅周辺地区では再開発事業が目白押しとなっており、大規模な工事が輻輳することによって、道路交通に影響を及ぼすことも懸念されますので、関係者間において工事行程の調整をしっかり行うよう求めておきます。
また、北海道医療大学の北広島市への移転問題につきましては、同大学が北区あいの里にキャンパスと大学病院も有していることから、今後とも札幌市として必要な情報収集に努め、地域の人たちの不安解消に努めていただくよう求めます。
次に、総務局についてであります。
札幌市役所においては近年、若年職員の退職者が増え続けているため、上司からの積極的な声掛けなど、その定着に向けた働きやすい環境づくりに努めるとともに、女性職員の管理職等への登用を含むキャリア形成に向けた取組を強化していくよう求めます。
また、行政改革と働き方改革を進めていく上では、常にコスト意識をもって、無駄、あるいは不要と思われる事業の「断捨離」を実行していくよう求めておきます。
さらに、国際部関連では、多文化共生と国際観光都市を目指す札幌市において、海外から訪れる人たちのために、分かりやすさを念頭に置いた表示言語を工夫していくよう求めます。
また、広報部関連として、市コールセンターについては、人手不足の中においても、しっかりとした人材の確保と、さらなるスキルアップに努めていただくことを求めておきます。
次に、デジタル戦略推進局についてであります。
デジタル技術の活用は、行政の効率化と市民の利便性向上につながるものでありますが、日本においては、キャッシュレス決済の普及が進んでおりません。
このため、スマホやパソコンをお持ちでない方や操作に不安を覚えている方への支援も含めて、キャッシュレス決済の利便性を伝え、その普及促進に努めていただくよう求めます。
次に、市民文化局についてであります。
札幌市におけるアイヌ民族の拠点施設の1つである共同利用館につきましては、地下鉄駅から距離があるうえに、集会室や駐車場が狭く、施設の老朽化も目立っております。
このため、アイヌ文化をしっかり保存し、若い世代に継承していく上でも、国の交付金を活用しながら、より利便性の高い場所に移転新築していただくよう求めておきます。
次に、子ども未来局についてであります。
札幌市では、AIを活用して結婚を望む若者同士を結ぶという「オンライン結婚支援センター事業」を政令市で初めて実施されるとのことであります。
そこで、この事業を多くの若者たちに利用してもらうためにも、結婚支援センターの利用料金の水準に十分配慮しつつ、インターネット広告の活用をはじめ、若い層をつかむ上でのイメージ戦略を積極的に展開していただくよう求めておきます。
次に、教育委員会についてであります。
本年度から、学校給食費の取り扱いにつきましては、学校ではなく、教育委員会において直接、徴収管理を行う公会計制度に移行しているところであります。
ただ、公会計移行の初年度ということもありますが、教育委員会から郵送した給食費の納付額決定通知書について、「誤った住所が書いてある」といった事例が見受けられました。
このため、今後は、データの更新を含む徴収管理を徹底するとともに、保護者や児童生徒に無用の心配を与えないよう、細心の注意を払って事務処理に当たられるよう求めておきます。
また、小学校で行われているプール授業につきましては、学校プールの維持管理に多額の費用を要していることや、水質検査など教職員の負担も大きいことから、
市内にある公共プールの利活用を積極的に進めていただくよう求めます。
次に、建設局についてであります。
冬季間における除排雪問題は、市民の最大の関心事でもあります。
そこで、幅員が狭く、新雪除雪が入らない路線を抱える地域において民間業者に除雪を委託する場合も補助対象に加えることを検討するとともに、パートナーシップ排雪支援制度を実態に即して見直すよう求めます。
さらに、冬季間における円滑な交通の確保に向け、幹線道路のさらなる幅員確保策に取り組むことを求めておきます。
また、歩道のバリアフリー整備事業については、積雪寒冷地という札幌市特有の事情も踏まえて、障がい者や高齢者、ベビーカーを利用する方など、すべての人にとって移動しやすいユニバーサルな歩道の整備を進めていただくよう要望しておきます。
次に、市立札幌病院についてであります。
市立札幌病院においては、設備管理などの業務を外部に委託しておりますが、委託費が医業収益に占める割合を示す「委託費対医業収益比率」が他の市立病院と比べ、高い水準にあります。
このため、委託先の選定に当たっては、特定随意契約によっているものの是非を含め、中期経営計画にあるように、仕様の見直しを行うことによって、さらなる経費の圧縮に努めるよう求めておきます。
次に、保健福祉局についてであります。
まず、障がい福祉に関してですが、重度の障がいがある人への支援策として、ヘルパー不足に対応した人材定着・人材確保のための研修を実施し、賃金水準の確保にも努めるとともに、グループホームの整備に取り組んでいただくよう求めておきます。
また、高齢者福祉に関しては、認知症に関する相談窓口や医療機関が分かりにくいという状況にあるため、医療相談から診断、治療、そして介護保険申請の相談までを
ワンストップで支援する「認知症疾患医療センター」を早期に設置するよう求めます。
そしてまた、認知症の前段階に当たるMCI(軽度認知障がい)の方々についても、認知症予防対策として、脳を意識的に動かす「脳のトレーニング教室」等を開催し、気軽に、かつ、継続的に通えるよう、きめ細かな対応を求めておきます。
次に、経済観光局についてであります。
まず、札幌におけるスノーリゾートの推進についてですが、スキー場の多くが市街化調整区域にありますことから、土地利用の規制に関する調査検討と、その調査結果を踏まえた具体的な取り組みを早期に展開していくよう求めておきます。
次に、エゾシカ対策ですが、捕獲したエゾシカを24時間受入れ可能な処理施設を市内に設置し、ジビエ処理を含めてその有効活用を図るとともに、捕獲に従事するハンターへの補助も含めた処遇改善を強く求めます。
また、農業に関しては、市内における耕作放棄地の解消に向けて、福祉事業者なども農業に参入できるよう、組織横断的なワンストップの相談窓口の設置や、全庁的な基本方針を示す計画の策定を求めておきます。
次に、交通局についてであります。
交通局においては、車いすの利用者やベビーカー利用者が地下鉄の乗り降りをスムーズにできるよう、車両とホームとの段差や隙間の解消に向けて、スロープの設置に取り組みつつあるところです。
そこで、全駅での設置には多額の費用を要するため、一般会計からの財政支援の強化を求めておきます。
また、地下鉄の車内広告がピーク時に比べ、大きく減っていることから、広告料金をもっと安くしてでも、広告掲出による賑わいを取り戻すべく、取り組みを進めていただくよう要望しておきます。
さらに、地下鉄自衛隊前駅近くでリニューアルを進めている交通資料館については、冬場における開館と、運営経費を賄う上での有料化を、今後、検討していただくよう求めておきます。
次に、スポーツ局についてであります。
プロ野球北海道日本ハムファイターズの本拠地が北広島市に移転したことに伴い、札幌ドームの経営状況がどうなるのか、心配する声が耐えません。
施設内を区切った新モードでのイベント誘致が苦戦続きである上に、ネーミングライツの見通しも立っていない状況にありますが、今後とも施設の保全・維持管理には膨大な財政負担が伴うことも事実であります。
そこで、今後における札幌ドームの管理運営手法につきましては、他都市におけるドームの運営形態も参考としつつ、あらゆる可能性を検討していただくよう要望しておきます。
次に、都市局についてであります。
札幌市では、住宅の確保に悩みを抱えている方々に対する相談窓口として「みな住まいる札幌」を設置し、併せて、セーフティネット住宅の登録制度を設けているところであります。
しかしながら、このセーフティネット住宅については、床面積25㎡以上という規模要件があるために、ニーズの高い低価格帯の物件の登録が十分に為されていない実態も見受けられます。
そこで、他の政令市における要件緩和の事例も踏まえながら、この規模要件の見直しを検討していくよう求めます。
最後に、下水道河川局についてであります。
札幌市下水道ビジョン2030の中では、「下水道事業が持つ資産の最大限の活用」ということを掲げておられます。
下水道といえば、マンホール蓋が思い浮かびますが、埼玉県の所沢市では、マンホール蓋のくぼみに広告デザインを貼り付けた有料広告事業を展開しており、このような取り組みは、全国各地で見られるところです。
そこで、21万7千箇所のマンホール蓋を有する札幌市においても、下水道事業の収入源を確保すべく、このマンホール蓋を活用した有料広告事業に前向きに取り組んでいただくことを求めておきます。
以上が、我が会派の議員が、提言や要望を交えて行った質疑の主な内容であります。
市長をはじめ、市理事者の皆さまにおかれましては、我が会派の提言等を受け止め、今後の業務執行に反映されることを強く求めまして、私の討論を終わります。
ありがとうございました。
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